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全日本柔道形競技
 
ビスさんが今回の特集はいいと言うたから、立ち読みしたら本当に良い内容だったのでJKfan(空手の雑誌)を買った。その他のページを読んでまた少林寺拳法の縮小していく現状と、空手の状況に大きな下手だりがあることが気になった。この時は、少林寺拳法で言うところの千鳥足に関する特集があったが、千鳥足だけで何ページも特集するほどの蓄積がある。彼らはこれを試合で用いるつもりだし、用いている。

 丸廉いう武道団体にとって実に不名誉な集まりが生まれてしまったのが少林寺拳法だ。ごめんなさい。多くの流派が強くなるための方法を模索している間に、少林寺拳法はその「模索をするかどうか」という議題で30年を費やしてしまった。 乱捕りをすれば改善するといった安易な問題ではない。もっと根が深いところまでこの30年はえぐりとってしまったのではないか。
  学生拳士と話をしているとまともに乱捕り稽古を指導してくれる層がいないことに気がつく。武道を行ううえでもっとも油が乗り切った30-50代のOBOGが乱捕り稽古してない世代なのだから当たり前だ。これは誰が悪いという話ではない。我々の全体の問題なのだ。
 かつては空手に対して同等以上に相手をしたと豪語する老拳士は多い。しかし今は無理だ。我々が30年間寝ている間に、伝統空手は強くなる土壌を模索し続けた。これに追いつくことは並大抵のことではない。

トップアスリートの土壌
 私の兄はプロのアスリート、だった。アスリートの道は厳しい。年に何度もある大会ごとに人生を賭けていると言っても過言ではない。大げさな表現と主かもしれないが、10代の若者にとってそれがすべてなんです。毎月大学受験が続く感じだ。次の試合で結果が出なければどうなるんだろうと押しつぶされそうな恐怖の中で何年も練習する選手も多いと思う。私もそういう兄をずっと見てきた。泣きながら父と話をする高校生の兄も何度も見た。怖いんである。勝負の世界は厳しいんである。同世代が自分を突き放して登っていく姿、同時に落ちて行く姿も日々見つめて、自分はどちら側なのかと胃を痛めるんだ。 青春をすべてかけて、同世代が何気なく経験する楽しいことをすべて捨てて取り組むんだ。それでも勝てない。

 伝統空手にはトップアスリートの土壌がある。厳しい競争、陳腐な表現だがまさに栄光と涙が身近にあって、ここをくぐり抜けてくるトップアリート域の空手家が毎年100人単位で生まれてくるのがあの業界である。たくさんの大学が強豪クラブを維持するために推薦入学させている。その層はものすごく強い。対抗できる拳士もいるかもしれない。でも毎年100人単位でこれを育ててはいない。これは確実。トップ層と言わないまでも、全国大会出場クラスは一般常識を凌駕する身体能力してる。まじよ。
 強豪大学はまさに小説のような生活である。寮生活をして朝に夕にと稽古に励む空手のエリートが山のようにいる。青春を全てかけてる。とても週に数時間、汗もかかない稽古をしてる人間が追いつけるレベルではない。このようなエリートの存在は強力なフラグシップであり、週に数時間しか稽古できない空手家のよき目標となっていることは想像に難くない。
 寸止め空手やろとか言うのがいるかもしれないけど、のろまな拳士相手ならあと3cm突込むくらいの簡単でっせ。


 


 ここでは格闘の強弱が趣向ではないが、いちよう注釈を入れておく。私は少林寺拳法の技術が空手に劣るなどとはまったく思わない。むしろ「勝っとるわーーー」て思ってますよ。だから拳法やってんの。しかしそれに取り組む環境に差あること、これは認識しておく必要がある。
 少林寺拳法には「拳法バカになるな」という言葉がある。空手と少林寺拳法では目的が違うという人もいるだろう。しかしそれでもなお認識はしておかねばならない。この現状を踏まえた上で、では少林寺拳法とは何なのか。何をしたいのか・させたいのかをはっきりしなけままいたずらに30年を過ごしてしまった。純粋な殴り合いなら、もう勝てないよ。いやいや、もちろんね、大学から空手はじめました、ていう一般的なレベルはそんなに差はないと思うよ。でもな、そのー、トップアスリート層だよ。少林寺拳法にトップアスリートといえる層はあるかな。「空手に対して同等以上に相手をしたと豪語する老拳士」の話を聞いたことがあるならば現状も認識するべきだ。
 少林寺拳法にはトップアスリートを育む土壌がない。やる気のある若者にとってはこれは退屈で、一歩踏み出せる奴は他に行く。少林寺拳法に青春を賭ける価値はない、そう大学生の多くは考えたている。はっきり言えば、「ものたりない」と感じている。


空手の展開
 現在の道院長支部長の平均年齢はちゃんと統計が出されていて、それは60歳手前である。あと10年経てばおよそ70に近づこう。そんな武道団体がもつだろうか。覇気は落ちるし今後10年で道院の数は急速に減少することは明らかだ。


 横浜市の中央図書館で雑誌コーナーを見ると、剣道柔道、相撲そして空手の雑誌が置かれている。少林寺拳法の雑誌など無い。伝統空手は、NHKでインターハイなどの試合が一時間も放送される。少林寺拳法にそんな放送はない。 日本体育協会にはコーチの資格が数種あり、50以上の競技でそれぞれ定められている。この資格を得るためにはスポーツ科学の一般的な素養が必要となる。ちなみに「空手」競技においてはこのような有資格者がすでに3900人を超えている。少林寺拳法の指導者・幹部でスポーツ科学の知識がある指導者幹部がどれくらいいるだろう。過去に本部からそういう資格を進めた時期があったらしいけど、もっと継続しなきゃ!!


 そして今日のJKfanを見ると、地方セミナーのことが掲載されていた、本当に日本各地で行われている。限定200人という記載が見える。津市でそんなに集まるのかと感じる。各人の工夫により人をひきつけている。
講師の紹介には、講演活動やラジオパーソナリティとして活躍とみえる。そんなこともやっているのかと驚く。活動は空手だけではないようだ。
 別に、その競技で飯が食えるとか商業主義だとか、強い弱いや優劣の話だけをしてたいのではない。しかし、何故空手はこれほど活動が多岐に広がるのに、一方少林寺拳法は縮小したかということである。今となっては「世界で一つの少林寺拳法」としてしまったが足かせになってしまったのではないとすら感じる。まもるべき「少林寺拳法の格」というものもあろうが、そのために異なるものを全く認められなくなってしまったのではないか。それが同門内であってもだ。空手は無くならない。誰でも使える言葉だもん。形は変わっても時節に応じて使われるだろう。


 現在の伝統空手の試合ルールが制定された時、「あれは空手ではない」と言う人は多かったというが、それをもう何十年も続けてきたのでこのルールの存在は無視できないものになっており、間違いなく空手の一部となった。多くの非難を浴びながらも模索を続けた。たくさんぶつかり合いながらもいいものは取り入れた。
 新しいものだけではない、既存の概念も掘り下げられている。千鳥足にしても後の先にしてもものすごく研究れている。我々のような斜めに入るだけとか、「受けてから突く」とかそんなレベルじゃない。千鳥足・後の先だけで何十ページも解説できるくらいの経験と蓄積がある。何故、少林寺拳法では研究が進まなかったのか。
 戦後に求められた空手と現在の空手は違うかもしれない。しかし現在の空手の発展について疑う者がいるか。



少林寺拳法の展開
 少林寺拳法はどうだろう。後ばっかり見てきたんとちゃうだろうか。まぁなまじ先代やその高弟が優秀すぎたのかもしれない(他流の人が見たら笑われねかも知れないが仮定として)。先人の言葉そして技を追いかけるだけで終わってたんじゃないだろうか。習えば習うほど、窮屈になっていくそんな拳法になってないだろうか。少林寺拳法はもう長く新しい単演や法形は制定されていない。新しいものを作らなくてもいいけど新しい解釈とか応用を認めるとか、何かしら組織として修行者としてのアウトプットはあっただろうか。すべてインプットに負われていないか。

 開祖晩年の法話に、「少林寺拳法はもう私が広めようとなくても勝手に広がる」というのがある。開創30年ほどの話だ。そしてそれから30年経って、その言葉は虚しく響くものとなりつつある。「教育は過去の価値観の伝達ではなく、未来の価値の創造のためにある」とは教育学者デューイの言葉だ。では少林寺拳法はどうだ。

 メディアに積極的に出る拳士がいてもいい。他流を学ぶ人がいてもいい。政治家と関係を作っていく人も組織には必要だ。コース制のような取り組みはあってしかりだ。全拳士がすべての活動にタッチする必要はない。それぞれができることやればいい。それを内輪で足を引っ張り合うようなことだけはしたくない。内だけではなくてもっと外にも目を向けて欲しい。それはお山だけがやることではない。在野からのアクションも必要なのだ。お山はお山でやっていただく。在野は在野で頑張る。
 そうしないと少林寺拳法は確実に消える。ほんまでっせ。歴史上全く消えてしまった流派・宗派なんていくらでもあるんやで。すげー流行ったのに数十年で没落、今は全く聞かないのなんていくらでもあるの。まぁ別に少林寺拳法のために少林寺拳法やってるわけではないのかもしれんけど、なくなったら寂しいね。

 少林寺拳法は素晴らしい。少林寺拳法にはいいものがたくさんある。現在の練習でやってないものがたくさんある。だから若い拳士がもっと工夫して素より太らせるつもりで埋めていくしか無い。そしてそういうことを許容する土壌が必要である。 どんどん他流派と学んで殴られてきたらいいの。そうすればもっと少林寺拳法の良さがわかる。もっと自分で工夫すればいいの。そしたら案外少林寺拳法てイケてると思える。





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