トップ > 豆辞典 > 少林寺拳法資料板 > RUSHER's STRATEGY > 第4章.いかに実技するか 〜 「演奏本番」
Ver.1.00


《事前》

  1.蹠、特に親指と前足底の古い角質は削り落しておきます。大会では写真やビデオに撮られる機会があるでしょうから、事前に散髪・整髪しておきます。荷物のパッキングは前日のうちに完了させます。自分は汗かきなので2.二着入れますが、本番まで下にシャツを着て済ませることもできるでしょう。
 身支度・着替え

《当日》

  もし直前に怪我をしていたり体調を損っていたとしても、軽いものであればそれを1.相方には知らせない、あるいは知らせてもその傷を見せたり詳らかにはしないようにします。当日はお互い心理的に緊張して心細くなりがちですが、自分の不調を相方に知らせたとしても相手には何もできません。余計に緊張が増すだけで、よい方向には進みません2.軽い怪我ならば、演武の内容をどう変更するかを決めるために時間を費すことにします。
  もし重度の怪我や体調不良ならば、支部長なり主催者に申し出て3.欠場することにします。
 緊張と体調
  1.静的なストレッチを十二分にした後は、相手と低速で演武の内容をトレースしながら2.動的に体を暖め、伸ばしていきます。自分の場合、全速力での通しリハーサルは、グリコーゲン・体内酸素の過剰な消費を避け、なにより神経の疲弊を防ぐため、行わないことにしています。
  六パターン(楽章)のうちの一番目は、最大戦速が発揮できるよう、立ち位置から運歩の位置まで入念に復習します。最も疲労した状態でやる六番目のパターンも、位置とタイミングが狂いがちになるため、低速で正確に合わせておきます。間合やタイミングが最も微妙なパターンも繰り返し合わせておきます。
  全パターンをトレースしたうえで、お互いに最も難しいパーツの技法を体、特に触覚に刷り込ませます。例えば上段回蹴なり足刀蹴をやらなければならないのにその動作が固いならば、伸び伸び出せるようにミット打ちの要領で何度かやっておきます。突き蹴りを腹に受ける箇所があるならば、腹打ちをして神経を適正化し、かつ加減を確認します。デリケートな投げ技であれば、眼をつぶっても触覚だけでスムーズに進められるように、四肢・胴体をならします。

  この時点で、3.手足が滑り過ぎるようであれば、洗面所に行って洗浄します。それでも守者の手首がつるつるするならば、手首に滑り止めのためのテーピングをするのも一案です。滑りが悪すぎるならパウダーを使いましょう。
 静的ストレッチ・マターリ復習・滑りの調整

《本番直前》

  1.床の具合いをよく観察します。もしもすでに汗や皮脂で滑りがちになっているならば、相方に注意を促し、演武の途中でタイミングが変ることを事前に通告しておきます。どこでタイミングが変るかは、事前の練習で決めてあるはずです。
  安坐で固くなった体を2.軽くストレッチをして、四肢をぶらぶらさせて弛緩させ、運動に備えます。演武は無酸素運動が多いため、後半になると体内酸素が欠乏して動きが悪くなります。特に場慣れしてしていない者は、過度にアドレナリンを分泌して緊張・興奮状態になりますが、それにより人体は通常より酸素消費量が増加してしまいます。コートに入る前には深呼吸を繰り返して体内に酸素を大量に取り入れ、神経を安定させておきます。
  ギャラリーの方を見ると緊張が高まるため、3.気を散らさないためにあちこちを見ないことにします。
 床面チェック・ストレッチと酸素吸入・一方目

《礼》

  2002年の関東大会の、模範演武を学生組がやりましたが、正面への礼を、壇上にいた来賓全般に向け、角度を変えてあちこち合掌礼をしていました。
  また、滅多に見ませんが、回れ右して観客席に礼する組も見たことがあるように思います。
  いずれも誤りです。正面(国旗とか)に一回礼すれば、それで1.「公」に敬意を示したことになります。
 公へ礼

《演武》

  競技において時間が計測されるのは、1.合掌礼から合掌礼までですが、「演武」の開始・終了は、コートに入ってから出るまでです。その間の2.所作はすべて注視されています。自分は子供達にこう指導しています。
  「近所に飛行機が墜落しようが、火事が起きようが、
誰が悲鳴を上げようが、親が呼ぼうが、一旦演武が始ったら絶対やめるな」
  コートに入るときには、だらだら歩いてはいけません。終りの合掌礼の後、結手した途端に相好を崩してはいけません。結手したままコートをだらだら歩いて出てはいけません。お喋りを始めるなどもってのほかです。首をかしげたり、下を俯いたりしてはいけません。仮に強い当身が入ったり着地に失敗して気分が悪かったり歩きにくかったりしても、コートを出るまでは一切我慢しなさい。
 適度な緊張感を保つこと

《競技演武と奉納/模範演武の相違》

  奉納/模範演武には1.制限時間も採点もありませんから、長くなっても気にしないでください。。採点を配慮して逐一投げた後に固める必要もありません。2.オリジナリティが要求されるので、作譜は十二分に配慮して下さい。
  3.法衣を着ている分だけ、構えを大きくし、動作所作を大きくとらないと見栄えが悪いです。競技演武の場合は正確度で減点されないことを重視するため、敢えてぎくしゃくした動きをしたりしがちですが、奉納/模範演武でそのようなことをしないで下さい。
 奉納演武の評価・法衣
 
赤字は615期生
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ver.1.00 2004/02/17