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虎かく語りき
多人数乱取りについて 「北陸の虎」ことでんべえ


0.目的
丸廉に出席されている方は、
A)道院や大学で他の武道と遜色ないくらい乱取りをやっている
B)あまり乱取り経験がない
という2パターンに分かれますが、多人数乱取りのモチベーションもこれによって分かれてくると思われます。

A)の場合は「腕試し」あるいは技術のブラッシュアップの側面が強いと思います。
B)の場合は「度胸試し」「慣れ」「経験値稼ぎ」が主目的になると思います。

  乱取りに慣れていない人が多人数と乱取りをすることは、技術的な向上には直接つながらないと考えます。
なぜなら、多人数で行うと乱取りの良い点、悪い点の反省なしにどんどん続いていくため、初心者の場合自分の技術の見直しができないためです。逆に、自分のスタイルなり戦法が固まっている人であれば、ポイントを絞って反省したり、新しい戦法に挑戦してみたりなどさまざまな発展ができるのではないでしょうか?
  経験値という観点で言えば、乱取りの中に戦略を練ったり、相手の出方を読むようになったりという技術が身につきます。(というかやらないともちません) 集中力が高まってくると、相手のフェイントに乗じて攻めるという芸当ができることもあります。(再現できないのが悲しいですが)
  結局のところ、経験値を積むとか、自分の限界はどのあたりなのか、など、精神的な鍛練の比重が大きいと感じます。


1.準備
●まずスタミナをつけましょう。
  多人数と連続で乱取りができるチャンスなんて滅多にありません。もったいないですから、途中でダウンしないように十分に走り込みを行いましょう。私の場合は、1月ほど前から週2〜3回、3Km、2週間程前からは4Kmジョギングをしてい ました。できればダッシュなども加えたかったのですが、勤め人にはジョギングだけで精一杯でした。

●爪先を鍛えましょう。
  ダッシュするにしろ攻撃するにしろ、パワーは爪先から生み出されます。
また、爪先は踏み込みと踏ん張りの要です。これが使えなくなると、攻めて相手を突き放すことも距離をとって様子を見ることもできなくなり、相手に主導権を握られての打ち合いしかできなくなります。
  ボクシング風の軽いステップでの前後の移動を毎日10分ほど行います。必ず前進するときは後ろの足で、更新するときは前の足で地面を蹴るようにします。(両足で同時に跳ねて移動するのは運足の観点ではよくないです)
  #これをまじめに3月やると、確実にふくらはぎが太くなります。女性にはあまりおすすめできない?

●基礎トレーニング
  改めて言うまでもなく腕立て、腹筋、背筋、スクワットは基本です。短時間で良いですから、必ず毎日やりましょう。これは乱取り云々の前に、仮にも武道、武術をやるものなら当たり前の話です。(超回復などの考え方もありますが、それが必要なレベルの人は、そもそもここで書いてあることを今更やってもしょうがないので特に書きません)

●首への鍛練も忘れてはいけません。
  打撃を頭に貰うとかいう前に、防具の重さが首にきます。フェイス面などは確かに軽目に作られていますが、乱取り中に相手の突きを避けるために何度も高速で首を振りますので、想像以上に首への負担が大きいです。(特に足が動かなくなると首の動きだけで避けようとする傾向が大きくなる)
  爪先と額を地面に接地するブリッジで首を鍛えておきましょう。これも毎日30秒づつ続けましょう。まじめにやっていると3月で首が太くなって、今までのワイシャツがきつくなるはずです。できれば、首を支える背筋、僧房筋、三角筋なども合わせて鍛えることをお勧めします。


2.乱取りのための練習
  これは東北大学の拳法部OBの方から教わった練習方法ですが、順突、順蹴のみの自由乱取りを行います。(面、胴、拳サポ着用) 攻撃は順突、順蹴のみ、
 守者は
  1.順蹴での待蹴
 2.順突でのカウンター
 3.体捌きで相手の攻撃を捌いてから反撃
 の3つで対応します。(受けはなるべく使いません) 主目的として間合いの感覚と反撃(特に待蹴などのカウンタのタイミング)の感覚をつかみます。

この練習方法の利点としては
 ・順突、順蹴りのみの単撃なので、俗に言う「軍鶏のケンカ」状態にならない。
 ・連攻がないのでカウンターも比較的とりやすく、タイミングの練習にいい。
 ・一撃勝負になりますので、しっかりと踏み込むことや間合いを正確に把握することが、
 
かなりシビアに要求される(間合い感覚の向上)。という点があると思います(個人的感想)。
#本当は今回の乱取りまでに連攻も加わった乱取りに移行する予定でしたが、諸々の事情で間に合いませんでした)


3.当日
●まずは気楽に行きましょう。
  勝ち負けや対応方法などを深く考えると逆にプレッシャーで苦しくなりますので、肩の力を抜いていきましょう。丸廉はあくまで練習としての乱取りを行っているのですから。

●あまり先のことは考えすぎない
  細かいスタミナ配分を考えると乱取りに慣れていないと消極的になってしまうと思います。トーナメント形式の試合ならともかく、これは練習ですから大雑把にスタミナ配分しておいて、後は行けるところまで行ってみようという感じでよろしいかと思います。(丸廉の理念上もそのくらいの軽い気持ちの方がよいかと思います)

●勝つ必要はない
  空手の昇段試験などと違って、勝つ必要はありません。自分の体の調子を慎重に確認しながら乱取りを行って下さい。体が動かないと思ったら待ちに徹しても構いません。K-1などの興行などと違って、消極的だから注意されることはありません。(ただし攻撃されっぱなしは駄目です。相手が攻撃してきたら、手数は少なくても構いませんから必ず反撃しましょうまた、ゲスト側は積極的に攻めてあげましょう。私のときは前半が比較的消極的な方が多かったため、ついこちらから攻めてしまいかなりスタミナを使ってしまいました。)

●呼吸に気を付けよう
  呼吸が乱れっぱなしだと実際に動き以上に疲労が溜まります。調息の時間を貰ったら、意識的に呼吸を整えて下さい。(深く大きく吸い、ゆっくり吐く) これはジョギングなど、普段から気をつけて呼吸を整える練習をしましょう。乱れさせないのも重要ですが、短時間でどれくらい回復できるかもポイントです。まだ、攻撃のときも細かく呼吸を行って下さい。慣れてないと息を止めて打ち合ってしまいます。

●疲れ
  どんなに鍛えた人でも多人数とやりあえば疲労は避けられません。疲れはまず下半身からきます。段々と踏み込みが甘くなっていきますし、最終的に足が止まると攻撃にしろ防御にしろ、どうしても無理のある動きになります。(攻撃ならば、上半身で倒れ込むように突きを打つ、防御ならばその場に居着いて手だけで捌こうとする) 疲れて動きが雑になるのは避けられませんので、むしろ雑になったときの動きを参考にして自分に何が足りネいのかを見る(あるいは第三者に見てもらう)のもいいと思います。

●怪我
  疲れてきたら、蹴りは控えた方がよいと思います。相手が防具をつけていると、経験上突きなどよりも自爆しやすいです。(回し蹴りを 脛で受けられて自爆とか、前足底で蹴ろうとして指を打っちゃうとか)
  蹴りに限らず、疲れてくるとどうしても攻撃が粗くなってしまいます。粗い攻撃は双方の怪我のもとです。意識がしっかりしているうちは、なるべく攻撃に無理がでないように気を付けましょう。
#それ以前に足が上がらなくなるというのもありますが。

●集中力
  多人数と乱取りを行うと、ある人数くらいまでは集中力がどんどん上がっていきますが、突然切れます。
 「相手の攻撃も見えているし、体もまだ動くはずなのに反応できない」
 
という状態が増えていきます。(攻撃を貰ってから我に返る)
  正直、これはどうしようもありません。切れた集中力を再度取り戻すのがいかに難しいかは皆さんも経験されていると思います。こうなったら、捌くとかカウンターなどとカッコイイことを考えず、とにかく直撃を避けることに徹して下さい。


4.アフターケア
  整法ができる人がいたら、体を整えてもらいましょう。(私はSyamiさんに頚椎のあたりを整えてもらいました。ありがとうございます) その後、自分の体をちゃんとチェックします。乱取り直後はアドレナリンが出ていて痛みや故障を感じませんが、アドレナリンの効果が薄れてくるにつれて徐々に故障個所がはっきりしてきます。
  乱取り後のストレッチ、できれば寝る前にも再度ストレッチなどをして体のケアをしておきましょう。これだけで次の日はずいぶん違ってきます。
  頭部を打つことによる脳へのダメージが心配されますが、直撃を受けていないのであればさほど心配することはないと思います。アルコールは控えめにして、風呂なども汗をシャワーで流す程度にして、過剰に体温を上げないようにしましょう。(私の場合は忘年会が同じ日に二連続でありましたが)


5.反省
  やはり、途中の動きを覚えていないのが痛恨です。何度かいい攻撃を行った(あるいはやられた)のは覚えているのですが、それをどんなシチュエーションで、どうやったらそれができたのかを思い出せないため、次につながるかどうかがわかりません(体が覚えててくれればいいのですが)。


6.提言
  今回の企画についてはいろいろなご意見があるとは思いますが、私自身は非常におもしろかったし、また有意義でした。いろいろな考え方はあると思いますが、やはりこのようなイベントがないと練習のモチベーションを維持しずらいのは確かですし、普段の練習で本当に体力の限界まで動くというのは(学生を除けば)なかなかないのではないでしょうか?


7.最後に
  当日お付き合いくださった皆様、大変ありがとうございました。次にやるときはちゃんと勝ち越せるようにがんばりたいと思います(おいおい)。

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