核酸塩基
核酸の塩基性成分を単に塩基という。
実際にはこんな感じの分子→
- A アデニン*adenine (6-アミノプリン)
- T チミン*thymine (5-メチルウラシル)
- G グアニン*guanine (2-アミノ-6-オキソプリン)
- C シトシン*cytosine (2-ヒドロキシ-6-アミノピリミジン)
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A アデニン |
T チミン |
G グアニン |
C シトシン |
エキソン・遺伝子・DNA
説明の関係上前後します。
DNA |
…atggcttatccgatggctagtctaggctttagtatggcttatcc…●●●●●●●●●●●●●●●●●●…
…taccgaataggctaccgatcagatccgaaatcataccgaatagg…●●●●●●●●●●●●●●●●●●… |
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A-T、G-Cがそれぞれ対応して、塩基が何万も連なり二本鎖のらせん構造→をとっている。この構造物のことをDNAという。
ちなみに「ヒトゲノム計画***」とは、この配列をすべて読んでいくこと。ヒトの場合は30億塩基対からなり、総全長にすると180cmほどになると言われてる。別に読めたからといっても何が書いてあるかまでがわかったわけではありません。
こういった配列の中には、情報として有用な配列と、情報として無用な配列がある。こんな感じで↓ |
DNA |
…●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●…
…●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●… |
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- 有用な配列:エキソン**。タンパク質をコードしている。→●
- 無用な配列:イントロン**。タンパク質をコードしていない。→●
つまりDNAの中身の情報はこんな感じになっている。
DNA …-イントロン(1)-エキソン(1)-イントロン(2)-エキソン(2)-イントロン(3)-エキソン(3)-イントロン(4)-エキソン(4)-イントロン(5)-…
生物はこれを、ちょこちょこ〜と操作して、
RNA (1)-(2)-(3)-(4)
最終的にこんな具合に修飾する。つまり有用なところだけ繋ぎ合わせる。この作業をスプライシング*と言う。ちなみに、生物屋の言う「遺伝子」と言うのは、この(1)-(2)-(3)-(4)セットの事。この状態になって初めて機能的な因子となるからです。具体的にはこれで機能的な一つのタンパク質をコードしている。
あとこれらを調節・制御している配列などもDNAには含まれています。
おまけ:「なぜイントロンのように無用な配列があるのか?」ほんとは、無用といったら怒られそうです。
未だに明確にはわかっていないですが、こんな事実が一つあります。
選択的スプライシング*(alternative splicing)です。真核生物は、なんとエキソンの組み合わせを複数パターン持っている。
(1)-(2)-(3)-(4) というセットだけではなく、
(1)-(2)-(4) とか
(1)-(3) など、
同一箇所から複数パターンの組み合わせが出来る(エキソンの組み合わせなら何でもかんでもいというわけではない)。あぁぁなんという幸せヽ(´ω`)ノ。これはイントロンという配列が所々にあるから起こりえるんだな。
こういう組み合わせが幾つあるのかがいまいちハッキリしないので、ATGCの配列が全て分かっても、実際にいくつの遺伝子がコードされているのかが分からない。毎年ヒトの遺伝子予測数が変わる理由の一つはこれ。 |
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染色体
DNAの塊。
細胞が分裂する時に見られる。というのも普段のDNAは(細胞内の)核の中でノラリクラリとしている(適度な凝集はしている=染色糸)。しかし分裂時は、糸状のDNAのままでは分裂後の各細胞うまく移動が行えないので、クシャクシャと凝集して(これが染色体)扱いやすくしている。(たぶん)
おまけ:「どうやって巻いてるんだろか?」
ヒトの場合、染色体は46本となる。生物によってこの数は基本的には決まってる。つまりDNAの巻き方には生物によって明確に決まっている。
上記の通りヒトの場合、DNAはおよそ180cm。人体細胞の体積は,200〜15,000um3なわけですが、普段は総延長180cmの糸状のモノがこのサイズよりもさらに小さい核の中に入っている。細胞分裂時にこれをどうやって絡まらずにスルリスルリ〜と染色体にまとめて行くのか、よくわかんないっす。 |
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ゲノム
生物が生活機能を営むために不可欠な,最小限度の染色体の一組。
ヒトの場合は23本の染色体(22本の常染色体と,1本の性染色体)。なんで46本ちゃうねん!!言うたら、それは同質のモノをご両親様から一つずついただいているので、実際の情報は重複している。だから半分でよいと。
ゲノムプロジェクト[英genome project]
ヒトゲノムプロジェクトゲノムの全塩基配列を決定し,その全遺伝子情報の解読を目的とした国際的協同プロジェクト.1970年代に確立した組換えDNA実験やDNA塩基配列決定の手法を用いて,特にヒトゲノムについて全情報の解読を決定しようとするヒトゲノムプロジェクト(human
genome project)が1980年代後半に計画,立案され,1990年に入り各国の機関で実際に進められた.ゲノムプロジェクトは,まずゲノム地図を作製し,種々の形質をマッピングしてその塩基配列を決定・解析し,それらの大量の情報をデータベースで処理し利用していく.ヒトゲノムは30億塩基対と巨大であるため,中小のゲノムサイズをもつモデル生物の研究や技術開発も並行的に進められている.21世紀初頭にはヒトの全塩基配列を決定することを目標としている.(岩波生物学辞典第四版) |
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大
小 |
と言うわけでサイズ的には、
核酸塩基 < エキソン < 遺伝子 < DNA < 染色体 < ゲノム
だわさ。
しかし、今まで書いてきた遺伝子とは「モノとして遺伝子」です。ニュースなどでよく見られる、「概念としての遺伝子」はどの段階でも適用可能なのでなんとかんとも。
確かに生物学辞典では、
「遺伝形質を規定する因子.メンデルの法則における基本概念として各遺伝形質(単位形質)に対応して想定され,」
とあります。なるほど「形質を規定する」とあります。しかし、分子生物学で遺伝子と言えば、大抵はこういった大まかな概念のことではなく、機能的な一群の配列のことを指します。
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■今回でマスターするべき用語
DNA、染色体、遺伝子、ゲノム、ヒトゲノム計画
■調べて知るとモテリーマンになれる用語
真核生物、原核生物、有糸分裂、ヒストン、アミノ酸配列、二重らせん構造、 ミトコンドリア
■少林寺erとして知っておくと恥を書かない用語
アミノ酸、タンパク質、ATP
これだけだと怒られるので、少し少林寺拳法に関連付けてしてみる。ちょっと厳しい。
生物 |
モノ |
少林寺拳法 |
情報屋 |
核酸塩基 |
ATGC |
基本諸作
(上受・開退り・直蹴など) |
アルファベット |
エキソン |
機能的な塩基配列 |
基本(開退って上受) |
命令文 |
遺伝子 |
複数のエキソン |
法形(上受蹴) |
サブルーチン |
DNA |
エキソン+イントロン |
法形+連反攻 |
プログラム |
染色体 |
DNAの塊 |
演武の一パラ |
アプリケーション |
ゲノム |
生物に必要な染色体のセット |
演武 |
インストールCD |
個体 |
615期生 |
615期生 |
パソコン本体 |
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※「塩基−アミノ酸−エキソン・イントロン構造」のアミノ酸のところは一般にはどうでもいいから省いてるよん。
※学術的に一部正確さを欠いているのは気にしてはいけない。。。対象が違う。 |
ご指摘をいただきました
1.「DNA>エキソン+イントロン」
>DNAというのはあくまでもデオキシリボ核酸という物質の名称にすぎず、この区分はかなり曖昧であるかと思います。
くわしくはこちら |
このページ名は,「ゲノム・染色体・遺伝子・DNA」です.ご意見・ご感想・ご要望をお寄せ下さい.下の方法でお願いします. |
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