トップ > コラム&ノート > フランスの柔道は事故が少ない?


 各スポーツごとにちゃんと怪我の発生率というのは、もちろん歴々統計が取られていて、その中で郡を抜いて率が高いのはアメフト。ちなみに柔道は7位になっている。 少林寺拳法は42位、平均以下といったところか。

ケガの活動種目別発生率

順位 活動内容 加入者数 発生件数 発生率 順位 活動内容 加入者数 発生件数 発生率
1 アメリカンフットボール 9,179 873 9.51 39 指導活動・審判 39,137 248 0.63
2 子どもプラン 109 4 3.67 40 ゲートボール 47,981 290 0.60
3 その他のウィンタースポーツ 1,881 60 3.19 41 ハイキング 76,035 403 0.53
4 自転車観披 3,139 95 3.03 42 少林寺拳法 50,616 266 0.53
5 ラグビー 50,965 1,417 2.78 43 剣道 325,842 1,604 0.49
6 バレーボール 1,024,506 27,732 2.71 44 ボクシング 2,047 10 0.49
7

柔道

118,824 3,009 2.53 45 マリンスポーツ 2,905 14 0.48
8 自転車操縦 399 10 2.51 46 なぎなた 7,024 30 0.43
9 インディアカ 54,804 1,252 2.28 47 ボブスレー・リュージュ 258 1 0.39
10 バスケットボール 411,198 8,460 2.06 48 フェンシング 1,648 6 0.36
11 硬式野球 51,239 1,047 2.04 49 軽スポーツ 33,476 102 0.30
12 スカイスポーツ 805 16 1.99 50 陸上競技 88,447 269 0.30
13 馬術 6,599 128 1.94 51 銃剣道 1,408 4 0.28
14 バドミントン 246,394 4,080 1.66 52 グランドゴルフ 78,400 214 0.27
15 相撲 7,079 115 1.62 53 その他のフィットネススポーツ 25,020 67 0.27
16 サッカー 992,698 15,256 1.54 54 フォークダンス・社交ダンス 92,394 246 0.27
17 ドッジボール 55,058 838 1.52 55 ウェイトリフテイング 1,148 3 0.26
18 アイスホッケー 15,643 224 1.43 56 エアロビクス・ジャズダンス 52,792 134 0.25
19 その他の球技 70,159 961 1.37 57 健康美容体操 107,969 264 0.24
20 ホッケー 5,238 67 1.28 58 ボーイスカウト 61,810 144 0.23
21 テニス 91,665 1,149 1.25 59 ヨット 6,007 13 0.22
22 学童保育 105,964 1,259 1.19 60 カヌー 6,065 13 0.21
23 スキー 42,487 503 1.18 61 文化活動 247,464 452 0.18
24 ソフトボール 717,896 8,189 1.14 62 ストレッチ 29,197 53 0.18
25 ハンドボール 16,488 184 1.12 63 その他のアウトドアスポーツ 71,540 108 0.15
26 レスリング 6,025 67 1.11 64 地域社会活動 23,059 29 0.13
27 その他の競技スポーツ 3,343 36 1.08 65 弓道 15,529 19 0.12
28 その他の武道・格闘技 26,500 275 1.04 66 水泳 204,146 249 0.12
29 体操競技・新体操 100,804 1,003 1.00 67 レクレーション 63,688 71 0.11
30 硬式野球 1,066,573 10,540 0.99 68 子ども会 442,158 487 0.11
31 スケート 17,171 153 0.89 69 ボート 2,213 2 0.09
32 山岳登山 1,742 15 0.86 70 ボランティア活動 51,256 39 0.08
33 空手 213,082 1,716 0.81 71 アーチェリー 2,493 1 0.04
34 その他のレクリエーションスポーツ 55,497 423 0.76 72 ライフル射撃 984 0 0.00
35 合気道 28,858 211 0.73 73 クレー射撃 541 0 0.00
36 サイクリング 3,394 24 0.71 74 近代五種・バイアスロン 72 0 0.00
37 ソフトテニス 77,646 535 0.69 * その他 1,101,153 959 0.09
38 卓球 132,778 870 0.66 全活動内容合計 9,195,104 99,958 1.09

 さっきググッて知ったのだけど、フランス柔道ではこんなに事故が起きていない。フランスの柔道人口は日本よりも多いのだけど、怪我が少ないらしい。 
    http://judojiko.net/news/459.html 

 日本のデータは率で、フランスは量、各国で集計法に違うしでデータ収集の方法が異なるだろうから一概には比較できないのかもしれないが、とにかく両国間で大きな差があるみたい。リンク先では、欧米諸国の他の聞き取り調査もあるけどこれは事実なのだろうか。フランスも含めてデータと言うよりは単なる聞き取りにすぎないところはやや気になる所ではある。日本よりもそこらへんはシビアそうな印象があるが。 

 とはいえ、柔道の事故率が高いことはちょっと興味のあるものであれば有名な話だ。昨今指導者による問題もよく報道されている。ここで柔道のことで言っているけど、その事故の根底は柔道いう競技だけにあるのではなく、指導者の認識に因る所が大きいだろうし、そうなれば少林寺拳法も人事ではないはずだ。 



武道をやっているんだから
 武道をやっているんだからチョットくらいの怪我は仕方ない、我慢我慢、がんばれがんばれという思いもある。これが本人のためになる、と思っている、ちょっとした怪我は上達には必要だと考えていないか。その過程と克服にこそ道の実践であると考えていないか。私にはある。
 怪我でもして親御さんからクレーム着いたら面倒だなぁて思いがないわけではない。でもかといって練習の「質」も上げてやりたい、だからちょっとくらいは…という思いもあり、このバランスに苦慮する人は多いのではないかな。これは武道にかぎらず他のスポーツでもあることだろうけど。

 しかしだ、もしこれでフランスの柔道が弱く、国際大会で全く成果を上げていないのであれば、そのような弁も通るかもしれない。しかしフランス柔道は強い。しかも事故がグッと少ないとなれば、日本の武道教育とは何なんだろうなと思わざるをえない。もしかしてもしかすると、「チョットくらいの怪我は仕方ない」という考えを完全に排除しても成果には関係ないのではないか? 暴力を受けて育った人はまた他者にも暴力を振るってしまうという教育学の知見がある、指導者もまたそういう循環の中にあるのかもしれない。

 精神病院で働く看護師さん数名に聞いたのですけど、最近は患者さんに対しては傾聴が主流です、要するに腕力では押し込めない。一昔前はそのまんま暴力といういみではないけれど、やはり腕力に頼る部分もあった。しかし時代の変遷も有りそのようなことは減っている、患者さんの立場に寄り添って…というのがまぁ精神病院にかぎらず教育界でも主流になりつつあると思います。私は正直なところを聞きたいとしたうえ質問しました。「そういう方向にシフトして、現場スタッフの負担はどうですか。キレイ事だけで現場は負担は増えたということはないですか?」そうしたら現場スタッフは「いいえ、負担は減りました。ずっとこちらのほうがうまくいきます。」て答えてくれました。私はこれを聞いてすごくスッキリした。

 病院とスポーツの世界は違うかもしれない。病院と教育の世界はどうだろう。競技と武道はどうだろう。そもそも日本とフランスとは異国で文化が違うだろう。でも現代社会において、武道を嗜むということはどういうことなのか、各々の指導者は何度も考えないといけない。少なくとも「チョットくらいの怪我は仕方ない」は一度疑ってみる必要がある。武道を習っているのだからこれくらいは「常識だ」というのを疑ってみなければならない。指導者が疑ってみる必要があるし、武道を習わせている親御さんも指導者の意識を確認する必要がある。




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