トップ > コラム&ノート > 細かい諸作法について

  少林寺の動きにはこと細かく名前が付いています。そして諸作法についても細かく規定されています。座り方・立ち方(右足から座って左足から立つ、半跏趺坐など)。話の聞き方。合掌礼。基準の取り方。構えに入る足の出し方。支部・指導者レベルではなく少林寺拳法全体、組織レベルで決まっています。初めのうちは「どうしてこんな細かいことまで、、、いちいち決まっているのだろう?」と思っていましたが、特に疑問も感じず、勿論苦も無く覚えていきました。初めは大学拳法部による代々の御決まりかとも思っていました。(笑)
  ところが先日、この諸作法の真義(の一つ?)を強く感じた事柄がありました。

  私の大学には三つの徒手格闘のクラブ(ここでは都合上、A・B・少林寺拳法とします)がありますが、これらの部活は年に二度ほど合同で公開演武会を行います。これを見に行った時のことでした。開場後、中に入るとスーツを着た進行役の学生が「それでは初定の時間となりましたので、各部活のみなさん、整列してください!」と声がかかりました。三つの武道団体は、整列し、着座しました。この段階で観客は続々とギャラリーに入ってきており、開始時間まであと数分という間でした。
  この合間にまず一つ感じるところがありました。A・Bは着座後、仲間達と軽く話を始めたり座った姿勢のまま上半身だけでまだ軽めの形練習をしています。はっきり言って落ち着きが無いというか見苦しい。もう開始時間はまだでも観客はもう入っている。対して拳法部は全員ビシッと結手して安座。背筋も伸びています。ゴソゴソする者など一人もいません。そういえば着座するときも全員キリキリ座りました。どっこらせっと座る拳士は一人もいませんでした。私の大学の他武道は着座というよりは座っただけでした。

  そして各武道ごとに列から移動し、演武は始まりました。この時もまた一つ感じることがありました。
 進行が言います。「それでは武道A(B)。演武披露をお願いします。」言われて、起立・移動となりますが、これも申し訳ないがあまり格好良くは無かった。全員が思い思いの方法で起立し、移動します。そして畳に入るときの一礼は様々です。個々で言うと気合も入っており雄々しいのですが、全体としてはやや不恰好でした。これを見て私は拳法部は大丈夫だろうか? とやや心配になりましたが、拳法部は見事にこの不安を裏切ってくれました。全員が膝に手を当てて左足から一斉に立ちます。きびきびと歩き、角を曲がるときも全員が同じように曲がり、入場の際も全員同じ姿勢、合掌礼です。諸作法をきっちりと修めた者の立居振舞です。退場時も同じありようでした。そして一士乱れぬ着座。

  このような諸作法はなにも徒手格闘・武道とは直接関係はありませんが、その必要性は十分にあるはずです。各武道というよりはむしろ各クラブでの指導の要素が大きいでしょうが、この日は少林寺拳法の諸作法が活きている・活かされている姿をしっかりと目の当たりにできました。
  ありがとう、幹部をしている同輩達!! そしてその代々30年に渡る多くの諸先輩方々!! 合掌
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