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ov46
2005/08/13



ビスキュイ>
今回のテーマは「法形で遊ぼう」です。普段練習している法形ですが,ついつい「決まった手順に沿って形をこなすだけ」となりがちです。しかーし!それだけでは勿体ない!!法形とはもっともっと面白くて味わい深いものだと思うのです。今回は法形に応用変化・創意工夫を加えて色々な味わい方を試してみたいと思います。題材としては内受突と流水蹴を取り上げます。

  1. 布陣を変えてみよう(左右表裏、各系を体験)
  2. 受け手を変えてみよう
  3. 反攻を変えてみよう(間合いに応じた反攻の選択を考える)
  4. 攻撃を変えてみよう(法形の汎用性について考える)
  5. 反攻のタイミングを変えてみよう(後の先・対の先・先の先について考える)
  6. 道具を使ってみよう(徒手では普段出来てることが…)
  まず、スタンダード?な法形を確認しておきましょう。デフォルト(標準?)とでも名付けます。内受突と流水蹴の場合、本項では以下。
  • 内受突
      攻者:左前の中段構えから逆の直突   守者:左前の一字構から内受 >> 中段直突
  • 流水蹴(後)
      攻者:左前の中段構えから逆の直突   守者:右前の一字構から流水受 >> 中段直蹴

1.布陣を変えてみよう(左右表裏、各法を体験)題材「内受突・流水蹴」
  法形は左右できるべきですよね。ちゃんとそれぞれの法形を左右練習されているでしょうか。また各法形を教範で引いてみると、「〜法」という表記があることをご存知でしょうか。例えば、内受突であれば、「表裏、左右、四法」と書かれています。昔の科目表にもこれは書かれていたようです。内受突を例に具体的に見てみましょう。左が攻者、右が攻者です。

表裏についてはこちら(ov42)を参照

じっくり眺める必要はありません。念のために四法を挙げているだけですw
左裏 右裏 左表 右表

  昇格試験では必要ないからという理由で切り捨てていませんか? 実際に、「そんなの試験に出ないから必要ないんじゃないですか」と言われてキレた拳士を私は知っています。法形は試験のために練習するもんじゃありません。


ビ>やりやすい布陣・やりにくい布陣とがあることを実体験。少林寺拳法の技法は状況に応じて設定されている。
  何度もサイトで繰り返していますが、頭で理解すると共に体で経験してください。実際にやってみると、表の内受突は、裏の内受突よりも怖いです。ここ(ov42)での説明の通りですが、突き手と逆の手による突きの危険性があるからです。しかし、だからといって表が間違いというわけではありません。



  左右できるにこしたことが無いのは分かるが、それほど重要なのか!? と思われる方のために一つ左右共にできる幸せを示してみましょー。これは私が支部で少年部と衆敵乱捕りをしていた時の経験です。

右の写真のように、自分
が、二人と相対しています。ここでは、に対して正面、は自分の裏にいます。このの存在がものすごく不快です。この場合、布陣を変えるとすると自分はどのように動けばいいでしょうか。方法は二つあります。
( ´ー`)y−~~
向きを変えて●を正面に据える。
こうすれば、相手を正面と表に置けます。(右前)
  どちらの方法でも、二人を正面と表に置けます。どちらの方法でも同じ結果が得られるなら片方だけでもえぇやんと思われるかもしれませんが、二人が常に動くような状況では両方必要になります。

  やればわかる、やればわかるんだーヽ(`Д´)ノ

  少林寺拳法が護身術を想定するならば、相手が一人とは限らない場合の対処も必要になります。常に相手が一人とは限りません。もし限られているならば、得意な左前などをキープしてもいいのですが、衆敵ではなかなかそうはいきません。

  やればわかる、やればわかるんだーヽ(`Д´)ノ

  明日にでも道場のガキや後輩を捕まえて試してみてください。きっと左右の必要性を感じます。たぶん。
  柔法に関しては左右の必要性は言うまでも無いですね。
足を差替える。
これでも相手を正面と表に置けます。(左前)
  教範にあるからやってみると言うと言うことも大切ですが、各法形でどんどんとチャレンジしましょう。
  • 左右
  • 表裏
  • 内外
  • 順逆
  • 単連
  • 開・対
  • 立・坐
※左は教範から抜き出した物です。剛柔混ざってます。
※拳系によって表記が異なります。左右二法と書いてあったり、左右二形と書いてあったり。内受突・流水蹴、仁王拳は「法」て゜表記されているのでここでは法で表記しました。



2.受ける手を変えてみよう 題材「内受突」
  デフォルトでは内受は順手でのみ受けています。場合によっては逆手での内受、そして突もあっていいはず。これも内受突です。

  ( ゚Д゚)ハァ? こんなもんが内受突なわけねーだろ、と思った方は少年部の科目表をよく読みましょう。少年部がやっているのに一般部ができないでは示しがつきませんw
 (まぁ私も少年部の科目表にあったことは知らなかったわけですが…)

  外受突など、他にもたくさんの法形で同じような発想で稽古の幅が広がるはずです。打上段突は、教範では「左右表裏順逆六法」とあります。多いのぉ。要研究〜


3.反攻を変えてみよう(間合いに応じた反攻の選択を考える)題材「内受突」
ビ>攻者の踏込み・体勢により反攻を変更。
ビ>突き・肘・膝・体当たりの使い分けを体験。(間合い・体勢による攻防用器の変化について:当て身の五要素)


例えば・・・
直突(デフォルト) 鈎突 打肘当 横振突 膝当
が例。大切なことは、状況に合わせて自分で判断して適切な反攻をすることです。最左の直突以外にも右側四つの攻撃もできるんだな、と新たな手を覚えることが目的ではありません。上の反攻以外にも、いろいろと自分で試してみるとことが大切です。この意識にこそ価値があるはずです。一つの正解があるわけでありません。いろいろ出せる体使い、柔軟な思考力を養うことが大切でしょう。
足を使ったら「内受蹴」ではないのか!? という考えもあるかと思いますが、それは当たりですw 人によりけり、用いた攻撃用器手によって分類する人、体裁きの種類で分類する人、うんたらかんたら、色々とあると思います。ここでは後者なんですね。どっちでもいいです。大した問題じゃないのでは。



4.攻撃を変えてみよう(法形の汎用性について考える)題材「流水蹴」
  攻者の攻撃を直突・振突・鉤突・高廻蹴などに変化させて流水蹴。流水蹴りであれば、上段に対する攻撃はだいたいさばけるはずですよね。攻撃によっては反攻も変わる場合があるはずです。上記の通り状況に合わせて
自分で判断して…こういった意識があれば可能なはずです。
逆の直突 順の直突 横振突 高廻蹴
  流水蹴を行う時の姿勢、構えはちゃんとできていれば、上段突以外にもその効果を発揮できます。むしろ他の攻撃を経験すると構えの意味も見えてくると思います。ちゃんとした…というのは結構むずいです。実は錫杖があれば矯正できますが、ここでは省略。



5.反攻のタイミングを変えてみよう 題材「内受突」
  後の先・対の先・先の先について考える。時間軸の変化ですね。書き出すとものすごく長くてめんどくさくて、そのクセいくらがんがっても分かりずらいものになるに違いない!!  …よしっ勇気を持って省略!!

  • 相手の攻撃が尽きた時→後の先
  • 相手の攻撃と同時に→対の先
  • 相手が攻撃しようとする瞬間に→先の先
  • 相手が動こうと思った時に→気の先
※オフを観察していて気になった点
  攻者が同じタイミングで攻撃を繰り返している組が多かったようです。そのような場合、結果として守者の先とはタイミングをずらすだけの稽古になっており、先関連の稽古とはなっていないように思えます。これは特に攻者が注意しなければならないでしょう。また全体的な傾向ですが、今回のように一つ、二つの法形に絞って稽古をすると攻者側が単調な動きに成りがち(上段逆突ばかりetc)なので、攻撃がいい加減な物になりやすいので、度々気を引き締めることが肝要です。



 以上1〜5を加えて法形演練を図にしてみると、このようになるかな?

この図を「内受突」に当てはめてみる。見よ!! この領域の違い!!
←→
たぶん一番ベーシックな「内受突」 すべて「内受突」

  法形のこのような練習は、決して少林寺拳法を逸脱しているものではありません。本来あたりまえの練習です。変わったことをしなくても、このように当然のことを当然にするだけでも法形演練の内容はかなり変わってくることを、再度ご確認ください。 ついでに、
 ※1当たり前のようにやるだけでかなり意味深いもの。 → コチラ(球拳士科目表、熟読!!)
 ※2連反攻についてはコチラ(連反攻について)を参照

  過去の科目表には、左右や表裏といった表記がありました。なぜ無くしたかは知りませんが消してしまったのでほとんどの拳士練習しなくなってしまったようです。



【おまけ】
6.道具を使ってみよう(徒手では普段出来てることが…) 題材「内受突・流水蹴」
  手にペンや割り箸等を持って法形を行う。道具があっても動きは徒手と変わらないことを体験。道具で慣れておくと徒手が楽になります。
精神的閾値を上げるんですね。道具を使った稽古の最後にはもう一度徒手でも同様に行ってみると良いでしょう。その違いをより深く実感できるはずです。

  ここで一つ注意点を、如意棒も同じなのですが割り箸やボールぺンなど短棒状の物で付く場合は、人差し指に沿わして持ちます。以下の写真を参照。
(´∀` ) (゚Д゚ ; )
  写真で分かるとおり、人差し指を入れなければ手首を無理に曲げなくてはいけません。これでは突くという動作にはとても不合理です。注意してください。
  錫杖稽古などで経験することですが、武器というモノは大変な恐怖心を抱かせます。持っているだけでも緊張感があり、集中してしまいます。たとえ拳法に使わなくても、一家に一本、木刀だけでもがあると楽しいですよw




以下、今回のオフのまとめ。
  1. 布陣を変えてみよう(左右表裏、各系を体験)
  2. 受け手を変えてみよう
  3. 反攻を変えてみよう(状況に応じた反攻の選択を考える)
  4. 攻撃を変えてみよう(法形の汎用性について考える)
  5. 反攻のタイミングを変えてみよう(後の先・対の先・先の先について考える)
  6. 道具を使ってみよう(徒手では普段出来てることが…)
  くどいですがどれも特に変わったことはしていませんよ!! すべて標準的な少林寺拳法の稽古として行われてきたことです。教範を見るべし!! いいだせばもっとあるけど、本日はここまで〜、基本的な法形演練を大切にしましょう!!
  • 様々なことができる。これが大切。法形で体を作ろう。
  • 様々なことを思いつく。これが大切。護身では頭悪いと困る、はず。
  • 法形は試験科目に過ぎないのか!? そう言うのであればデフォルトだけでよろし。

【関連・参考】法形(連) PW02「天地拳を楽しむ」

177 名前:ビスキュイ 投稿日: 2005/08/17(水) 10:03:18
遅ればせながら今回の主座を務めさせていただきましたビスキュイです。参加の皆様お疲れ様でした〜&Syamiさん基本主座ありがとうございました〜。
さて,今回は「法形で遊ぼう」というテーマで私が今までに教えていただいたり自分で考えたりした法形演練のバリエーションを体験していただいた訳ですが、如何でしたでしょうか?某巨大掲示板などではついつい酷評されがちな法形演練ですが,実は非常に幅が広くしかも楽しい練習法であると思うのですよね。ただ今回は「変化・応用」という点に焦点を当てましたが,普段行っている「キッチリと要件を満たして形どおりに動く」法形演練も重要であることは勿論のことですので,その点はお間違えのないようにお願いいたします。
「形どおりに動く練習」で原理・原則を学び,原理・原則の活用を学ぶために応用・変化の訓練を行い,そして乱捕り稽古でそれらの運用を学び,それをまた基本の法形演練に活かす,というサイクルが重要だと思うのです。また今回ご紹介した「変化・応用」を「決まった形」として捉えられてしまうと応用・変化が応用・変化ではなくなってしまいますのでこれまたご注意ください。あれらは決まった形ではなく,あくまで「この場合はこういう考えでこんな変化もできるんじゃないかな」という考え方の例示です。技を用いる状況はそれこそ無数にあり,それに応じて現れる変化の「形」も無数に発生する可能性があります。変化の形を覚えようとしたら切りがありません。変化の法則を覚えてその活用を学ぶことが重要だと思うのです。そしてその変化を生み出す「考え方(法則)」は拳士ならば誰もが学んでいる「当て身の五要素」であったり「先」だったりするのです。今回やっていただいた変化もこれらを当てはめてみただけなんです。たったそれだけで一つの法形をあれぐらいには膨らませることが可能です。せっかくの法形演練,皆様も色々試してみて味わい尽くしてくださいませ。
 それではまたご一緒できるのを楽しみにしております〜。



ビスキュイさん持参のレジュメ(PDF)

今回の内受突の写真は実に見難い、分かりにくい!!
モデルの女性二人が悪かった、 悪すぎる!!!
何故か!?

二人とも道衣が白すぎる!!

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