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 廻蹴と振蹴であります。拳士の中には振蹴という言葉を知らない人もいますけども。【関連・参考】攻技と攻防用器と

 私は入門当初は前足底で廻蹴をすることが怖く、攻撃用器は脛や足甲を用いて振蹴的なフォームでした。入門以前に目にしていた格闘技では振蹴のイメージが強かったこともあり、少林寺拳法に入門し始めて前足底という蹴り方を知ったときややロマンも感じましたがw やはり怖かった。まぁ少年部上がりの拳士のなかには振蹴の方がしにくいという者がいたから、どっちが楽だといった話には意味がないのかも知れませんけどもー。
 皆さんは自分が単純に曲線軌道の蹴を出す場合、どちらに近いでしょうか。


 廻蹴と振蹴は混同されがちです。故に攻撃用器・軌道なども混同されどっちつかずで上達を阻害しているのではないかと感じることがあります。このページでは、私の廻蹴と振蹴の区別を書きます。もちろん、これが正統なる廻蹴だ、これが本当の振蹴だというつもりはまったくありませんので。いろいろと突っ込みをいただき皆様が考える切欠になればと思います。

以下ご容赦を。


蹴の軌道
 廻蹴
 振蹴
 私のイメージでは振蹴、まぁ「空手の蹴」とか言われちゃうことがある蹴です。「空手の蹴」という表現には突っ込みどころ満載ですが今回は割愛。少林寺拳法には振蹴という蹴技がちゃんとあります
一般的な攻撃用器は足甲や脛ですね。

fig.1
 やや特徴を示すために極端に書いています(以下同様)。青いのは人で上から見ています。矢印は足の先の軌道を示しています。蹴られる側が真正面を向いていますが、これはイメージですのでご容赦を。
 振蹴は相手を外側から叩きつける・被せるようなイメージです。対して、廻蹴は、

fig.2
 こんな感じです。先ず振蹴よりももっと正面からという用い方です。直蹴の変化・延長という位置付けです。
 一つ目の角までは直蹴同様で膝を上げてきます。そこから腰(尻)を入れることで膝から先を外側に振廻し起動を変えています。膝から下の感覚は直蹴とまったく同じです。

 ともに体感部に向けて蹴っていくことに変わりはありませんが、入る軌道を区別しています。これが水平面。垂直面になると、
 振蹴は廻蹴に比べれば、水平に入ってきます。

fig.3
 振蹴と比べると、刷り上ってくるように入ってきます。

fig.4
 まぁここら変はより個人差があるのであまり細かいことは気にせず「差」だけに着眼していただければと思います。

 fig.3,4のような違いはどのようなところに影響があるかと言うと、蹴っている者の姿勢が変わります。
 fig.3のように水平チックに蹴ろうとすると、よりしっかりとお尻を出す、つまり腰をしっかりと出さないと股関節が痛いし威力が出しずらい。また軸足の踵は相手に向くくらいするのは当たり前。ですから蹴った時の姿勢は、我から見て彼は横にいます。対して廻蹴は、
 振蹴よりは腰を残せます。直蹴・廻蹴ももちろん腰は使うのですが、振蹴ほど出す必要はなく、正面に体重を掛けながら槍で刺すような蹴を出します。軸足の踵は相手側に向くほど入れることもないと思います。
 つまり、廻蹴は振蹴よりも体を回転させない。蹴った時の体制は上半身が振蹴よりは相手を向いています。

fig.5

つまり、廻蹴か振蹴によって足先だけではなく前進の姿勢が変わる。
  • 振蹴
     彼は側面方向にいる。
  • 廻蹴
     彼は比較的正面方向にいる。
 振蹴はしっかり体を回転させることになります。しっかり叩きつけて、触れる瞬間にさらに切り込む。筋力や体重があるとより活きます。しかし少林寺拳法はあまり体が回ることを好みません。またいかせん年寄りにはきついかとも思う。体力的に。ピンポイントの前足底の方が体重の小さい者、女性などでも相手を伸しやすいのかもしれません。むずいけど。少林寺拳法はあまり体を回すのが好きじゃないし、背面を少しでも向けるのをかなり嫌ります。【関連・参考】タックル対策



攻防用器と蹴
 姿勢、お尻の出し方が変わると攻防用器も変わるのです。

 こんな感じで下腿と足に線を…引きました。大体中心を通しているつもりです。( ´∀` ) モノを蹴るなどして足に負荷がかかった場合、力が幹部によって伝えられるだろうということを示しています。

fig.6

fig.7
 前述の通り、振蹴よりも刷り上るような廻蹴は、腰がさほど回さないので、足の中心よりも内側にある前足底による接触が自然です。
 外側は当てようとするとかなり大変ですね。また当然外側だと前足底は極めて使いづらい。だから、私は内側と前足底はセットで使います。

fig.8
 お尻をしっかりと出す振蹴は、廻蹴とは違い外側の方が当たります(攻防用器として足甲や脛の外側を当てるという意味ではありません)。故に外側と足甲・脛は相性がよいです。
 お尻を出しているのに、内側を当てるようとするとかなり柔軟性がいります。外側なので前足底はだいぶ大変です。

fig.9

 また更に受けに注目すると、廻蹴には払受、が少林寺拳法のセオリーですが、よく聞くポイントに三陰交を払うというのがあります。


fig.10 ●は三陰交

 しかし、もし相手がお尻をプリプリに出した振蹴近似のフォームであれば、三陰交はかなり打ちづらい場所にあります。振蹴のフォームの場合、三陰交は自然と払受をする腕から見て隠れます。もし外から被せるような蹴しかできない拳士、また意図して振蹴をされた場合は、三陰交を払うことはけっこう難しい。なんか曲線蹴には払受、払受の時は三陰交、と安易に関連付けると痛い目にあうでしょう。こういうのは状況をみてやりませう。
つまーり、廻蹴か振蹴かによって攻・防用器も変わる。
  • 振蹴は外側
  • 廻蹴は内側





振蹴から廻蹴を習得する
 最近やってる廻蹴習得法のひとつについて書いてみます。上にも書いたとおり、私には前足底よりも足甲・脛のほうが入門当初は蹴り易かったのです、怖かったから。そんな私は振蹴から入ります。

 直蹴でも廻蹴でも腰を入れるということに変わりはありません。しかし初心は廻蹴で腰を入れることができない。まず前足底で全力で蹴るという動作が怖く、ますます腰が引けてしまいがちです。だから私は、先ず振蹴により大きく腰を入れる体感覚を身に付け、それをコンパクトにしていくという順番で行います。


 
1.腰を入れる練習〜大きく振蹴
 始めはとりあえず〜足は棒のようでもいいから腰をしっかり入れることを意識します。とにかくしっかりと外側から叩きつける。軸足もしっかり返します。くるっと一回転するくらいしっかり振り切る。 先ずは腰の入れ具合から始めて、腰を入れる癖をつけます。後はバシバシとモノを蹴って全身をうまく調節します。
2.腰をクイックに入れる練習〜振蹴が触れてから更に切り込む
 次は叩きつけるではなく、足が相手の体に触れたときに再度押し込むように心がけましょう。上手くなれば、ザックリ刺さる感じの蹴になります。ポイントは体重の乗せ方と膝から先です。
 ここでは、外側から叩きつけるような大きな振蹴でかまいません。少林寺拳法では大きく蹴ると「金的云々」というツッコミが入ることがけっこうありますが、この段階は体を作る稽古であり、使う稽古ではないので勘弁してもらいます。
3.膝をクイックくに入れる練習〜コンパクトな振蹴
 ザックリ刺さる感じができてきたら、今度は膝を意識します。我と彼の間に先ず膝を入れてから蹴る練習をします。蹴り足の軌道は直線的になっていきます。
 この時にまた腰の切れが悪くならないように注意しましょう。実際に使おうとするならば、よりクイックな腰の入れ方が必要になります。

 ← 蹴りの途中段階がこんな感じ。
 膝から先はまだまだ出しません、我慢我慢。しっかりと彼我の間に膝を入れ〜しっかりと引付てから膝先と軸足を出します。

 ここでは練習法として紹介していますが、このような振蹴は乱捕りでも大いに役に立ちますのでぜひ試して下さい。速度的にも軌道的にも大変受けにくいですよ。また「直線的にくる廻蹴」として諸派でも用いられています(世間は振蹴と廻蹴の細かい区別などないので、曲線蹴りは廻蹴と称するのが自然)
 
4.廻蹴
 今度は前足底を使います。コンパクトな軌道3とクイック2な腰入1が出来る必要があります。

 前足底を使う場合は、あまり腰を入れすぎると体が横を向くので使いづらくなります。だから腰の動き・入り自体は小さくします。しかしそのやや小さくなった腰の動きにはより強力なクイックさがが求められます。この小さいけど迅いという動きが初心には難しいのですね。だから大きな動きから入ります。

 まったくの初心には向きませんが、ある程度モノを蹴れるようになってきた拳士にはけっこう効果のある練習です(●^o^●)



前足底で蹴る
 前足底を槍で刺すように用いる、場合は足首か曲がった状態ではなく、できるだけ直線上に乗るようにしましょう。
 またそのためには、足の指もしっかり立たせましょう。これには練習が必要ですが90度ちかく曲がるようになると自信を持って蹴れる様になりますし怪我も減ります。爪先立ちをするなどしてストレッチしましょう。
 こういうのがあまりよろしくない形です。まぁ状況によってはあるので一概にイヤンイヤンと言えませんが。
 刺すような前足底を意識するならば、さらに当てる位置も大切です。指の付け根に限りなく近いところで刺しましょう。底のほうだと踏むような形になってしまいます。むしろ当てる位置の意識を変えることで蹴の姿勢もかわってくるかもしれませんね。


 まぁなんやかんやと書きましたが、それぞれに実際にモノを蹴って自分にあったスタイルを模索してください。

※ちなみにここの廻蹴は前三枚ばっかり蹴ってますが、教範で横・後てありますな汗 開祖の足首はがっつり曲がってるし。
※ここで書いている前足底はほぼ親指の付け根で点です。しかし少林寺拳法の前足底は足の五指の付け根の範囲で点ではありません。故にもう少し幅広い使い方と解釈もあると思います。
5037 名前:名無しさん◆いらっしゃい[] 投稿日:2007/07/31(火) 20:05:50
前を向いていたつま先が外に向くという意味でしょう。

それと、振り蹴りと回し蹴りのページ見ました。
そもそもは、振り蹴りもそこで言う意味の回し蹴りと同じ軌道だったとと考えます。本来の空手で言う回し蹴りというのは、もともとは少林寺でやっていなかったように思います。が、格闘技の普及でみんなそういう蹴り方を使い出したのでは?

私は、
表を蹴る場合はそこで言う回し蹴りの軌道、そして側面又は裏を蹴る場合は、そこで言う振り蹴りの軌道を使っていますね。あと最終的にその角度になるとして、直蹴りの軌道からの変化と、回し蹴りの軌道からそのまに蹴る、の2タイプを状況に合わせて使っています。

5038 名前:5037[] 投稿日:2007/07/31(火) 20:37:33
何でかというと、表の場合は真横と言うよりは、上向きに蹴った方が急所的に効くからです。裏の場合は上に蹴ると肘を落とさると痛いから。そして、ガードの上からも力を通すように真横または落とし気味に蹴っています。

どれが良いかは別にして、あくまで私のやり方という意味で書きました。


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