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●日時 1998年5月31日
●場所 新宿スポーツセンター
●主催 正道会館

新人戦は超人への大きな第2ステップだ
勇気、強さ、感動は自分の手でつかむもの


 今日、空手に関していえば、新人戦のシステムは、かなり確立されてきたといってよい。特に、正道会館では、早くから地方大会や新人大会などの段階制を試行してきた。道場内での試合を経て、オープンの新人戦に出場。Cクラス、Bクラス、Aクラスと段階を踏み、晴れて全日本大会に出場を認められる、という仕組みだ。
 A、B、Cの3クラスの他、ルールは一スピリットカラテルール(顔面パンチなし)、フルコンタクトカラテルール(グ口一ブを着けての顔面パンチあり)の二つに大別され、それぞれが 3階級の体重制を設けてある。自分の目指すスタイルと自分に合った階級を選択することができる。
 スピリットカラテAクラスとなると、体重制がなくなって無差別となり、ルールは限りなく全日本に近づく。そこで勝ち抜いた選手が全日本で闘い、上位へ進出すれば、K-1のようなプロのリングに上がる道も開けてくる。
 こうした段階制の確立によって、選手が伸びていける下地を作ることが、ひいては K-1を底辺で支え、巨大イベントを確固たるものとしていくことができるのである。
 もちろん、段階制といっても、新人戦や全日本などアマチュアの大会が、プロを目指すための一段階である、というわけではない。プ口を目指したい選手には、それに適した道も選択できるということであって、アマチュアはアマチュアとして純粋に格闘技が好きで、それに打ち込んでいく道場生たちが自らを試す場として確立された世界がある。
 基本がある程度身につき、組手やスパーリングをこなせるようになってくると、次は外で自分の力を試したくなるのは当然だ。ここでいう「外」とは、道場外での「ケンカ」などを意味するのではない。道場での厳しい稽古や、あまりに強い先輩方との組手を通じて、ケン力などというものにはとても関わってなどいられない状況になっているはずだからだ。
 外、つまり自分の道場以外の選手と闘うことで、いったい自分がどれだけ強いのかを知りたい。そこでの第一段階が、新人戦となるのである。自分から「出たいです」と言い出すか、先生や先輩から「出てみるか?」と打診されるか。パターンはいくつかある。しかし、出ると決まったからには、試合に勝つためのトレーニングが開始されることは、どこの道場でも同じはずだ。
 試合用のトレーニングは、それまでの稽古とは一変する。息を上げるスタミナトレーニングなど、数倍厳しいものが待っているのだ。それに耐えながらも、試合が近づいてくるのを実感し、恐怖や不安が増大するだろう。肉体、精神両面からの重圧が襲ってくる。
 これらをすべて乗り越え、とうとう試合当日がやってくる。朝起きてからがもう試合も同然。朝御飯、試合場までの道のり、体育館への到着、試合に集まった選手たちとの対面、計量、ドクターチェック、開会式、そして自介の試合。人生でこれほど緊張することはなかった、と思えるくらい、密度の濃い一日が待っているのだ。
 もちろん、試合そのものは、試合前とは比べものにならないくらい苦しい。人生でこれほど緊張することはなかった、どころではない。人生でこれほど苦しいことはなかった、というのが試合なのだ。勝ち負けよりも、この苦しさから逃れたい。そんな気持ちにさせられるだろう。
 それでも、選手は相手に立ち向かっていった。痛みと苦しみの中、自介の体が動かなくなるまで、全力を尽くして闘う。この全力を尽くして闘うという月並みな表現が、ここでは本当に実現されていたのである。新人戦だけに、技術レベルはまだまだといってよい。しかし、あくまで勝負にこだわり、前進していく姿は、女子クラスといえども、Aクラスに決して劣るものではなく、むしろ優勝を果たして感涙にむせぶ河村恵美選手の姿は、本大会で最も感動的なシーンを生み出していた。
 もちろん、負けたからといって、それを恐れる必要はまったくない。負けてボロボロになってコーナーへ帰ってきても、仲間は暖かい拍手といたわりで迎えてくれる。共に汗を流す仲間の大切さ、ありがたさが、身にしみて感じられる一瞬だ。
 大会出場。それは、格闘技を始めた第一歩に続く、次なる第二歩である。そこには、今まで想像もできなかった、まったく新しい世界が待っている。それが、本誌の唱える「超人伝説」に直結していることは、もう説明するまでもないはずだ。(試合結果は106ページに掲載)


【関連参考】月刊誌の乱捕り特集 実戦で使える合気道、合気道S.A.の関節技

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