「グルグル流す乱捕り」の活かし方
丸廉においては参坐人数が漸増に一途をたどっており、この影響で、残念ながらスーパーセーフ等の顔面防具が参坐者に十分には行き渡っておりません。このため、双方攻撃での激しい顔面有りルールは、総当りでは行いません。その代わりに、ウォーミングアップで行う形式を多少激しくしたバージョン(力・スピードのUPバージョン)を適用しています。特に終了前には、グルグル回転寿司形式にてたくさんの相手と乱捕りをするよう采配しています。
この経緯に対して、以下の疑問があがってきています。
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「グルグル流すだけでは、あまり意味がないのでは?」
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「乱捕りには慣れるだろうけど、それで技術面での上達が見込める?」
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これにお答えするため、主旨をふたたび本記事にて整理してみます。
まず皆さんは、自分なりのテーマをもって乱捕り稽古に臨んでらっしゃいますか? たとえば
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「今回のオフでは上段蹴りをもらわないようにしよう!」 |
といった目的意識はありますか? 漠然と数をこなすだけでも、体に慣れさせる(乱捕り慣れする)点では有効かもしれません(とりわけ級拳士や不慣れの有段者にとっては数をこなすこと自体もとても重要です)。しかし、特に有段者以上であれば、ましてや後輩を指導する立場にあるべき拳士であるならば、本人の目的意識がしっかりしていないと、得られる効果は薄くなってしまいます。
丸廉では、乱捕りにおいて使える修練方法を、毎回テーマという形で紹介しております。「テーマで経験した2ステップを使ってみよう!」「テーマで経験した下段ガードを意識しよう!」など。常連拳士は、これら学んだことを自由攻防において活用するための場として、グルグル乱捕りを位置づけています。その目的のためには、相手にも積極的にリクエストを出しましょう。(下段の受けを意識するならば、下段蹴を少し多めに出してもらうなど)
グルグル乱捕りにおいては、高段者(又は乱捕り慣れのバリバリ学生)と不慣れな級拳士が、相対することもあります。仮に、級拳士と四段の拳士がグルグルまわる過程であたり、自由攻防の乱捕りを行うとします。四段の方が級拳士の方に対して軽め・限定的に攻撃することで級拳士の方の練習になるのは、皆さんも理解できると思います。実際に、級拳士の方から「みなさんの攻撃は愛がありました。安心して乱捕りができました」とよく言われます。では四段の拳士にとってはどうなのでしょうか。練習にならないのでは?と疑われるかもしれません。しかし、よく考えてください。級拳士の攻撃を、一つ残らず確実に受け流すことができますか? おそらく何発かは当たると思います。それを減らすという意味でもガード練習になります。終始一貫よけていると、級拳士の方の攻撃の練習になりませんので、意図して攻撃を受ける部分も含めながら、時間配分を行えばいいのです。
HP管理人の615期生さんは最近支部での乱捕りは(まだ入って間も無い)女子高生とばかりしているとの話をお聞きしましたが、これは、下心があるのは言うに及ばず♪、「自分が乱捕り稽古において主導権を持てるので、より自分のテーマで行いやすい。」とのことです。つまり、テーマを活かそうとしても相手が上級者ではそんな余裕はなく、ただ乱捕りをこなすだけで精一杯になってしまいがちです。しかし、多少の余裕をもってできる相手では、テーマの実践という意味でも効果的なのです。自己の動作の再確認する余裕があるからです。
過去にこんな書き込みを2ちゃんねる武道版に見受けました。
「レベル差がなかったらやる意味がない。 レベル差があるからこそやる意味がある。 」
若干過度に端的な表現ですが、一理あると思います。このカキコは本来違った意味・流れでカキコされたものです。
以上のとおり、グルグル乱捕りは、上級者・初心者どちらの練習にもなります。双方が目的・趣旨を理解していれば、互いの武階に関係なく誰とあたろうが、グルグル乱捕りを活用できるのです。拳士たるもの、乱捕りにおいても自他共楽でありましょう。なお、級拳士・不慣れ有段者の方からは、いきなりの自由攻防でそれを活かすのは難しいとの意見も頂戴しており、限定を多めにした乱捕り(例えば蹴りは下段のみ等)や、その前段階の入門的なメニューも、随時実施をする予定です。初級者と上級者を分離してみることも検討しています。
また、本部が普及させている四人一組の運用法と同様に、いい攻撃が当たるごと、一回行うごと、乃至は終了後に相互にネタ明かしをしあうのが、お互いの向上のための理想です。稽古場所を使える時間が十分にあるときはそうしているのですが、毎回実施できているわけではないので、御容赦ください。
(2002/12/25 わんわん、2003/1/5 RUSHER)
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