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(主筆レギュラー陣、加筆・意見で多数者参加 2002/11/04)
  あくまでも一例にすぎません。これは丸廉参坐者の共通見解というわけではありません。再度掲示板で同様なカキコがあった場合、各人からはこことは異なったレスがあることもあると思われます。ご了承ください微力ながら参考になれば幸いです。丸廉掲示板・2ちゃんねる・Yahoo等の掲示板における典型的な書き込み・悩みの一部に対して回答を作ってみました。
Q&A1st

少林寺拳法の修錬プロセスとはこのような図により説明されます。
  基本
「コツを学ぶ」身体の動き、動作のコツをつかむ段階
  法形
「ムリムリをなくす」拳理を学び、技法の原理原則を学ぶ段階
  戦術組成
「ムラをなくす」法形を組み合わせ、防禦反撃の対応策を練る段階
  演武
「キレのある動き」総合的結果を確認、少林寺拳法のすべての要素を取り入れ、相手と共に上達を楽しむ自他共楽の精神を学ぶ段階
  乱捕り
「勘をつかむ、アラを探す、エゴを克服する」基本、法形を運用活用すること、護身の技術として役立たせるための修錬法
※「エゴ」については今後詳わしく追記します。

これらの状態を遷移して、拳士は戦略的に少林寺拳法を修得しなければなりません。
  ●日常の稽古において「基本と法形ばかり」
  ●大会前に慌てて「法形から演武を作るだけ」
  ●合宿等の限られた機会に「お祭りのように運用法をやるだけ」
という偏食的状況は、改める必要があると考えます。
              

ここからが本題です。

1.「うちの道院では乱捕りを行いません。」関係
@この状態で本当に強くなれるのですか?
  無理だと言い切ることは出来ませんが、護身術としては活かしきれない可能性が大です。それは格闘というものが「見る」「判断する」「動く」の三要素が必須だからです。乱捕り稽古はこれらのうち特に「見る」「判断する」を養うものです。  なぜ乱捕りをするのか

A乱捕り稽古をしたいのですが。どうしたらよいですか?
  まず支部長にご相談されることをお勧めします。一口に乱捕り稽古といっても、攻撃用器と攻撃箇所の種類、防具の有無とその種類、スピードや加撃の強弱、これらの組合せにより多数幾多のバリエーションがあります。まず、あなたがやりたい「乱捕り稽古」と、支部長がお考えになる「乱捕り」との接近が、必要ではないでしょうか。 

B乱捕りを有志で行っていると支部長に怒られるのですが、どうしたらよいですか?
  まずは支部長の意見・考えを知るためにもきちんと質問する事が必要です。「怪我したらどうするのだ!」との返答が返ってきたら、なぜあなたが乱捕り稽古を必要としているのかを話すことが大切です (→例を以下に示します)。単純にガチガチと乱捕りをするのではなく、ある攻撃に対する防御練習等(攻守決め限定乱捕り)でしたらそんなに懸念されないと思います。
  あえて「乱捕り」や「運用法」といった表現を避けることも有効かもしれません。自由攻防の練習は控える、つまり限定乱捕りから入ることもよいかもしれません。

  話ネタわねた  〜こんなことから入ると気楽かも〜(615期生)
・乱捕り稽古は科目表に載ってる正規の練習内容であること
・教範や副読本にもその必要性は明記されていること
・防具の開発や大会運営の通知等・月刊誌の文面から見て本部は乱捕り稽古をさせたがってるはず
防具の開発:周知のとおり金カップ・スーパーセーフなど少林寺独自のものが本部により開発されてきた。
大会運営の通知:2002年度学生大会運営要領では運用法の実施について「行うべき」となっていた。
月刊誌の文面:周知のとおり

C道院では乱捕り稽古ができない雰囲気です。どうしたらよいですか?
  そういった 悩みを持った方は全国に多くいらっしゃることでしょう。こういった場合、他支部へ出稽古という手段もあります。そういった支部内・支部間の相互交流は大変有意義ですから強くお勧めします。時間はかかりますが、他支部拳士との交流を通して有志を募り、休日に公共体育館を借り、一緒に稽古なさってはいかがでしょう。できるならば支部内で同様の考えをもつ拳士と居残り稽古でもするのが手っ取り早いでしょう。

D練習相手もいません。転籍しようと思っているのですが?
  少林寺拳法は組手主体を修錬の主体としています。もしここで言う「自らが望む環境」に恵まれなかったのであれば、締まりある攻防練習に限界をきたすことでしょう。ならば同志を募集する、育てる、武専別科を含む支部間交流の場に出る、他支部へ出稽古として参加する、その他様々な手段を考え、積極的に実行することが肝要です。このような選択肢として転籍も一つの考慮対象となるでしょう。

  上記のような行動を成す場合は、まずあなた自身の乱捕り稽古に対する知識と認識を深めることは不可欠です。
同志との意見交換、インターネットを介した現状・諸方の考えを積極的に取り込むことで現在では容易に可能となっているはずです。

 なお法形で「見る」「判断する」稽古を稽古方法もありますが、ほぼ失伝しています。



2.「少林寺をやっていても強くならないのでは。」関係
@法形の練習がメインです。これで強くなれますか?
 漠然と一定形の法形をただクリアしていくといった練習形式のみでは、「強さを得る」為の手段としては効率が良いとは言えないのではないでしょうか(見習・級拳士を除く)。法形の意義をきちんと理解した稽古が必要です。一つの例を示します「天三の形」
  あと法形演練と言っても、左右・裏表・内外などを入れ替えてみる、先・後の先・先の先をテーマに加える、連反攻を5発(例)以上にする、連反攻に連反攻をつけるなど設定を練ることにより、より豊富な内容にすることが可能です。特に連反攻は設定次第では、段階的に乱捕りへと近づくための有効な過程となります。
  法形だけでは、ではなく法形の練習の仕方に肝があります。大切なことは複数の法形を組み合わせる、科目表の構成を考えることです。

A演武の練習がメインです。強くなれますか?
  演武を「決められたパートをこなすだけ」といった意識下から脱却できなければ不可能でしょう。近年の演武は「演舞」?、突蹴が相手に元々届いていなかったり、連反攻も(決められているため)流していたり・流れていたり(つまり攻撃が来る前にもう反応している)、このような場面が多く見受けられます。たとえ自由攻防ではない「演武」であっても、攻者は本当に相手を打ち倒す気持ちで行うことが常に必要なのではないでしょうか。
  連反攻に関しては、普段より最後の一手に自由度をもたせた攻撃にするなど工夫をすることで、演武練習にも自然と緊張感が生まれます。少林寺拳法の修練方法として演武は大切な一部を占めることは周知の事実です。しかし「演舞」ではなく「演武」、読んで字の如く「『武』を演じている」ということを常に反想する必要があるのではないでしょうか。



3.「他武道に関すること。」関係
@ネット上で他武道をやっていると名乗る方が少林寺は弱いと煽っていますが実際はどうなのですか?
  まず少林寺拳法は武道団体としては非常に会員数が多く、さまざまな目的を(護身錬胆・健康増進等)もった方が集っている事実があります。また大きな団体は煽りの対象になりやすいということも事実です。大抵こういった内容が掲示板で議論されると、「強い弱いを決めるのが少林寺ではない」といった意見が出され議論がかみ合わないまま消滅することがほとんどです。「弱い」とは、実「践」的な意味で弱い人、つまり喧嘩の仲裁すらできないような武力の人…と考えてください。
  2ちゃんねるでもこういう話題は多々ありました。そこで、他武道の方は「少林寺拳士は試合以外、護身術に関してもできていない人が多い。」と主張しています。私はこの他武道者からの指摘に否定はしません。つまり、実践的な意味でも未熟な拳士が少なくはないと思われます。(→リンク「少林寺はなぜ煽られるか?」)
  2ちゃんねるにおいても「少林寺は弱いといった議論」がよく起こります。もし、議論に参加している少林寺拳士が他武道を経験するか、他武道の試合を一度でも体験したならば、議論の半分は説明不要、他武道修行者が主張していることの意味が実感されるのになぁ、と個人的には思っています。(→チェック「2ちゃんねる抜粋」詳しくは「コチラとコチラ」)

A他の格闘技(他武道等)をやっている友人のほうが強くなっている気がするのですが。
  多くの他武道では、競技試合での勝利を稽古の目的としている場合が往々にあり、筋トレ・スタミナをつける練習もきちんとやっておられます。ですから基礎体力に関しては一般的に言えば現在の少林寺拳士は劣っていると言わざるをえませんし、乱捕りをあまり行わない現状ではフルコンのように打ち合っても打ち負けるのは仕方ないこと、当然だと思われます。
  少林寺の本来あるべき練習(2の法形・演武の練習内容)を練磨されている方でしたら、仮に他武道の方と一定のルールで試合形式を行ったとしても、たとえ打ち合いには不利としても、スピードやポイントを取る(当てる)ことに関しては十分互角にできると思います。また、2(法形・演武)の内容をしっかりしている場合に関しては、少林寺の護身術としての実践性に関して、他武道との比較で無意味なものだと思います。決して自分たちが修行している少林寺の技術が劣っているのだとは考えないでください。これについては自信をもって「否!」と答えさせていただきます。

B自分がどれだけ強くなっているかを試したいのですが。
  少林寺拳法には現状として、強弱をはっきり決める機会、そして知る機会・知り得る機会がありません。少林寺の修行をやっていて本当に強くなったかを試したい、と思われる方は少なからずおられると思います。(格闘技をする者に共通な観念であることは言うまでもありません)そういった血気盛んな方で他武道に興味を持たれた方、他武道の試合に出てみたいという方には、あえて少林寺内でガチガチするより他武道を経験することをお勧めします。
  両方並行してもよいですし、一時的に少林寺拳法を休会するという手段もあります。得るものもありますし、少林寺の良さ・現行の問題点を共に知る機会となるのではないでしょうか。その上で少林寺に復帰するかどうかを考えるのもよいでしょう。また丸廉に参坐され、ガチガチ乱捕りをしたいと申し出てくだされば私をはじめ誰かが相手をしてくれますよ。(審判をつける等安全面に十分に配慮して)



疑問のおまけ〜以下、過去にネット上の掲示板に出た内容です。
なぜ、乱捕りをしたがらない支部長が多いのですか?
@ 怪我人を出したくないから。
 もし怪我人をだしたら責任問題になるので、乱捕り稽古を導入することに消極的になっている。時代の流れでもある。
現実例)
大学対抗戦等で怪我人が出る
  ↓
本部へ連絡
  ↓
今後の対抗戦等の参加見送等の自主規制
また、最悪活動停止になりえます。
(学生大会が中止にされたことも過去にあります。)
  問題は3点あります。
・民事(金払えー)
・刑事(刑務所いけー)
・社会的制裁
  (支部長解任・支部廃止・大会中止・参加自粛)

A 乱捕りをほとんどまたは全く経験せずに支部長になっているから。
  つまり、乱捕りの練習方法を知らないため指導ができない。また、自分がさほど動けないことが門下生にばれたくたいという理由です。(キツイ内容ですが、実際にある話です。)
  今後は乱捕りの経験が昇格審査の時のみ、という指導者が増えていく可能性が高い。

B 高齢で自分が動けないため。
  自分にとって指導がしやすい柔法だけをやりたいため。乱捕りをガチガチやっているのを見ると止めたくなるといった心境の方もおられるなど、他にも様々あると思われます。

問題1。(民法で考えてください(金銭面)。刑法はなしで。)
  XとYはある支部に所属する拳士である。あるとき、練習時間の合間の休憩時間において、二人でガチガチ乱捕りをおこなっていた際、Yの中段蹴りがXの腹部にあたり、うちどころが悪く内臓破裂でXは死亡した。支部長は自主練において二人が多少危険なガチガチ乱捕りを行っていることを知っており、危険だとは思っていたが、「若い者なんだからこのくらいいいだろ。」と黙認していた。この場合の法律関係について述べなさい。
 Xの遺族が、Yに対して不法行為に基づく損害賠償を請求できることは問題ない(民法709条)。では、支部長に監督責任が生じ、損害を賠償しなければならないのか、自主練における練習なので支部長に責任がないようにも思われる。しかし、支部の練習時間内の休憩時間に行われたことを考えると、支部長が責任を負わないというのも不合理である。では、支部長の黙認が不法行為の要件に該当し、民法709条の損害賠償請求が可能になるかが問題となる。
 この点、支部長の黙認は不法行為の要件である過失に該当すると考えられる。なぜなら、支部の練習時間の範囲内に起きた事故であり、支部長の監督権の範囲内にある行為といえるからである。また、支部長には練習を指導すべき練習時間以外に、休憩時間においても、信義則上(民法1条2項)、危険な行為を停止するように指導すべき安全配慮義務があったといえるからである。支部長の黙認と本件の事故の発生とは相当因果関係が有ったといえ、監督責任は免れない。
 したがって、被害者Xは加害者Yだけでなく、支部長に対しても損害賠償請求ができると解する。

cf.民法第709条〔不法行為の要件と効果〕
 故意又は過失に因りて他人の権利を侵害したる者は之に因りて生したる損害を賠償する責に任す

事故発生時の保険の適用について  現役某大手保険会社勤務の現役拳士から意見をいただきました。
  管理者側の責任の解釈は、経験上結構広く捉えられがちですね。一般的に見て、普通に審判をつけて普通に管理していてもけが人が出れば、管理者側の責任は問われると思います。少なくとも、私が勤めている会社の賠償責任保険では十分支払いの対象になる事例ですね。(支払いになる=法律上の賠償責任と認められる)
  本当に、管理者側の責任を回避したいのであれば事前に乱捕を行う者と管理者間で、書面にて賠償請求しない旨の確認書を捺印・自著付きで取り付ける等はしないと管理者側は厳しいでしょうね。しかも、上記手段で避けられる賠償責任はあくまで民法上のお話で突き詰めると、「お金」の問題だけです。当然、それに伴う少林寺拳法連盟の風評被害(たいしたことは無いとは思いますけどね)や刑事罰のお話はまた別になります。

ここからは私見ですが、
  少林寺拳法は護身の技である以上、他格闘技に比べ危険な技法も多く、制約も本来は無いものと思います。これらを総合的に勘案すると、指導者の方々が消極的になるのもわからないでもないですね。まともな反応だと思います。だからこそ、運用法を管理する責任者・審判は尋常でない注意力と判断力をもつ必要があり、当然当事者も、それこそ真剣勝負の心意気で臨まねば少林寺拳法で運用法を行うのは厳しいと思います。
・・・だから、法形演練があり、演武があるのだとおもうのですが。


問題2.自主練でやっているのを知っている。黙認して死亡(今回の事例。一番多いかなと。)
問題3.自主練でやっているのに気づかなかった。それで死亡。
問題4.全面的に禁止している。それなのに自主練で勝手にやって死亡。
以下追記予定



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